GAP(Good Agricultural Practice)|より良い農業の実践GAP(Good Agricultural Practice)|より良い農業の実践

新潟県

case.02新潟県農業大学校

農業のこれからを担う若者に
いち早くGAPの意義を知ってもらうために
新潟県農業大学校は、農業に関する教育・研修を行う県立の専修学校です。2016年に「コメ」、2018年に「いちご」の栽培でGLOBALG.A.P.認証を取得。農業大学校で国内初の複数品目の認証取得を達成しました。今回は園芸経営科長を務める大箭隆一教授と、「いちご」のGAP認証取得に取り組んだ園芸経営科野菜専攻の学生4名にお話を伺いました。新潟県農業大学校 園芸経営科長 大箭隆一教授
新潟県農業大学校
新潟市西蒲区巻甲12021
新潟県農業大学校 園芸経営科長 大箭隆一教授

作業を行う学生の安全を守るために

同校では1年次に共通の必修科目で「GAP導入演習」の講義を受け、学生たちはGAPの必要性や取組方法を学びます。2016年に稲作経営科が、全国の農業大学校で初めてGLOBALG.A.P.を取得したことを受けて、園芸経営科でも「いちご」の栽培で挑戦しました。
「コメでのGAP認証取得は、学生の安全確保が最大の目的です。それまで農場実習ではたびたび危険な場面に遭遇していたので、GAPという取組を活用して、学生とともに環境改善を行ったのです。もちろん農産物の安全確保や輸出など販路拡大への期待もありました。対して今回のいちごは、他品目でもGAP導入の経験を積んでほしいという狙いがあります」と大箭教授。
「コメ」のGLOBALG.A.P.認証取得後、シンガポールへの輸出が実現し現地での販売実習など新たな取組につながっており、学生の経験の幅が更に広がっているそうです。

認証取得に向けて、大箭教授から概要説明を受けている様子。

大変なことも多かったけど
やってみたら良いことばかりだった

「いちご」のGAP認証を受けたのは、3棟あるハウスの中でも高設栽培を行っている2棟。園芸経営科野菜専攻の学生12人がチームになって取り組みました。
「最初に取り組んだのはリスク管理です。拠点となる園芸管理センターやハウス内の危険箇所を洗い出し、対策を考えました。具体的には、囲いを作ったり手描きの案内表示を掲示したり、既存ルールを再共有し徹底したりといったことなどです」。
説明してくれたのは、チームリーダーを務めた熊谷望さん。全員で意見を出し合い出来ることから始めました。活動の中で、桐生伊織さんが一番大変だと感じたのは防除だと言います。
「害虫や病気を防ぐための薬品の管理が特に厳しかったです。他のハウスで使っている薬品と分けたり、棚の置き場所を徹底したりと苦労しました」。
準備期間は半年ほど。何でも気にする癖がついた、作業場がきれいに片付いた状態を保てている、大きな怪我や事故も起きなかったなど、それぞれにGAP認証のメリットを実感していました。

施設の至るところに掲示されている注意表示。危険箇所の見える化や注意点の共有に役立っている。

もっと広まってもいいのに…
自分たちから発信する努力も必要

「安全な農産物とはどういうものかを考えるきっかけになりました。GAP認証が一定の安全性を担保していることをもっと多くの消費者に知ってほしいですね」と金子優作さん。
「消費者に知ってもらうには生産者側からもっと情報を発信した方がいい。私たちも直接販売をしているので、お客様に説明をしたりしていきたいです」と韮澤希咲さん。
話を伺った4名の学生のうち3名は農業関連の仕事に就職します。韮澤さんが就職予定の農業法人では、これからGAPに取り組む計画があるのだそうです。在学中にGAP認証取得に関わった経験は、今後の彼らの仕事の上でもきっと役に立つでしょう。
現在、全国34校の農業高校と9校の農業大学校がGAP認証を取得済(2018年12月27日時点)。これから農業に携わる若い人材の中でも、GAPの理解が進んでいます。

左から韮澤希咲さん、桐生伊織さん、熊谷望さん、金子優作さん

取材日 2019年1月29日